アサーティブトレーニング基礎講座に参加して(5)
しかしながら、メンズカウンセリングではあえて脱線させているともとらえることができます。ワークショップで話される内容は、社会規範に沿ったドミナント・ストーリーではなくて、社会規範から解き放たれたオルタナティブ・ストーリーが語られています。プログラム作成者が予想もしなかった参加者の話により、他の参加者が癒されていくと考えられます。自由度が高い分、かえってファシリテーターの能力が試されるとも言えます。
まとめ ―常識人のためのアサーティブトレーニング、変人のためのメンズカウンセリングセラピー―
アサーティブトレーニングを主催するアサーティブジャパンは、設立か15年が経過し、全国に支部組織があります。常勤の事務員を抱えています。全国にファシリテーターがいます。2日間で3万円もかかる講座を何度も開催しています。私が受講した講座では、参加者12人に対して、ファシリテーター1人、アシスタント7人が参加しました。もともとコミュニケーションに興味がある女性が集い、当たり障りのない事柄から訓練を行います。参加者が抱える葛藤は後回しにされます。基礎講座を終了し、応用講座を終了し、ステップアップ講座で初めて葛藤と向き合います。まずコミュニケーションスキルを身につけて、自己肯定感を向上してやっと葛藤に向き合うのです。葛藤を後回しにできる人を対象としていると言い変えられます。
メンズカウンセリングは、1か所しか拠点がありません。カウンセラー(ファシリテーター)を数人抱えるのみ、ワークショップは何時間参加しても参加費2000円、常連の参加者はいますがアシスタントと呼べる人はいないようです。ワークショップの内容は抽象的で、社会規範から逸脱した内容が語られます。社会に適応できる人、自分が変わる必要がないと考えている人にとって、ワークショップの雰囲気は苦痛でしょう。
私はコミュニケーション手法を身につけるためのアサーティブトレーニングの有効性を自覚しつつ、ワークショップの雰囲気は物足りなく感じました。ワークショップの間、「浅い」問題だと感じていました。私は今話しかけ方や断り方に悩んでいるわけではないです。
私が悩んでいる対象って、恋人や配偶者との関係、子供との関係、親との関係など、身近な人たちがほとんどです。メンズカウンセリングでは早期から私たちの問題の「深い」部分に焦点が当たります。それは日常生活ではあまり触れられることはありません。逆に触れようとしなくても日常生活を送れてしまうがゆえに、気がつくと私たちは「深い」問題に大きく蝕まれています。いざ取り扱おうとしても、どう取り扱ってよいか手探りにならざるを得ません。メンズカウンセリングを勉強すると、それら私たちを蝕む「深い」問題への向き合い方がわかるようになるのです。
私はメンズカウンセリングの雰囲気が好きになりました。
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