上野千鶴子に恋をした(3)

簡潔な文章と明快な解説に惚れました

    やっぱり、上野さんはすごいです。

    まず、文章が簡潔です。一度読んでみて意味がわからず、もう一度読み直すと言うことがとても少ないです。そして解説の明快なこと。同じことを視点を変えて何度も言い返したりはしません。試しにほかの著者が書いた文章と比較してみると、上野さんの文章力が卓越していることに気がつきます。

    「6 方法論とは何か」より、以下の文章を引用します。 

    ここで理論アレルギーを治療してもらいましょう。理論theoryとは現実を解釈するための道具だと考えてください。理論は、互いに論理整合的な関係にある概念の集合からできています。「概念concept」とは、「うちに孕むことconceive」が語源です。ある現象を言い表すために創られた用語です。概念とは現実を解釈するための装置conceptual apparatusです。新しい概念は、それ以前の概念では説明することのできない新しい現象を表現するために創られます。

    一般向けの平易な文章で書かれているのに、解説のレベルが落ちていません。文章を読みながら、私は何度もうなってしまいました。

    私は重松清さんの文章にあこがれていますが、論理的な文章を書く場合は上野さんの文章を参考にすべきだと思いました。


当事者研究を進めたい

    私は先日、共同養育に関するアンケートを450枚集めました。アンケートの解析結果を分かりやすく発表したいと考えるようになりました。しかし上野さんの著作を読む限り、その発想は本末転倒だと気がつきました。
    社会学研究は以下の手順を踏むそうです。まずは「問い」があって、「問い」に対する仮設を設定します。「問い」に答えるために研究を立案し、その過程として「質問紙調査」を行います。結果を分かりやすく解析し、研究により既存の知識に対して何が分かったか主張する、そして研究の限界を素直に分析します。

    私の場合、「日本では共同養育が一般的でないのはなぜだろう?」、「日本で共同養育を広げることに意味はあるのだろうか?」、「日本で共同養育を広げるためにどのような活動をすべきであろうか?」と言った「問い」があります。しかし仮説の設定と研究の立案を飛ばして、「質問紙調査」を行ってしまいました。「質問紙調査」から分かったことから逆算して、「問い」と「仮説」を設定しようとしています。このまま進めたのでは、大した知見を見いだすことはできないでしょう。

   本を読み進めると、私の取り組んでいることは、まさに当事者研究であることがわかりました。そして上野さん流の当事者研究の方法が記載されていました。そのフォーマットに沿えば、聞くに値する報告をすることができるかもしれません。早速研究をデザインしたくなりました。


とりあえずまとめ

 「情報発信者になる」を読むと、上野ゼミの模擬体験ができます。上野さんがゼミで指導していたことが、惜しみもなく記載されています。上野さんの提示するフォーマットに従えば、研究を始めることができそうな気がしました。本を読み進めるうちに、勉強したいことがどんどん現れてきます。ワクワクして仕方がありません。「情報発信者になる」を何度も読んで、その中身を確実に自分に取り込みたいと思う一方で、参考文献には何が書かれているか気になって仕方がありません。

    上野さん、すごいよ。


つづく・・・かも。

Coそだて株式会社

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