父親と交流のなかった14年間

 先日ある勉強会に参加しました。講師の女性(ウタさん)がさまざまなエピソードをお話ししてくれました。その中で気になる話がありました。ウタさんはしばらく交流がなかった父親に自分の仕事を見てもらうことがあり、予想以上に父親に喜んでもらえたそうです。
 私はウタさんがどうの様にして父親との交流が再開することがあったか、とても気になりました。勉強会終了後に、ウタさんにお話をお聞きしました。
 ウタさんは、ご両親の離婚後に父親との交流が途切れました。数年後に結婚をきっかけに故郷を離れ、仕事と家庭で忙しい生活をしていました。ある時勉強会を通じてコーチングを受けることになりました。ウタさんは父親と14年もの間交流がないことをコーチに話すと、コーチは「今すぐお父さんと連絡を取りなさい。」と言いました。ウタさんは今更父親と電話することをためらっていましたが、しぶしぶその場で電話することになりました。父親は長い間彼女のことを気にかけていたことがわかると、ウタさんは自然と涙がポロポロこぼれてきたそうです。その日の電話をきっかけに、ウタさんと父親の交流が再開したそうです。

 ウタさんは言いました。
 「今思うと、父親と交流がなかった14年間は、半身が麻痺している感覚でした。私は母親だけでできているわけではなくて、半分は父親でできています。自分の半分である、父親がいないつもりで14年間生きてきました。父親との交流を取り戻してから、今までの私は心の半分が麻痺していたことに気がついたのです。そして今は、やっと自分の心が自由に動くことになりました。」

 私はウタさんが、14年間の間父親のことをどのように考えていたか、そしてウタさんの母親がウタさんの父親をどのように話していたか、聞くことができませんでした。ウタさんは長い間忠誠葛藤に囚われていたのかもしれません。
 逆の立場から考えてみると、ウタさんの父親が14年ぶりにかかってきたウタさんからの電話に暖かく応えることができたからこそ、交流が再開したとも言えます。

 私は3人の子供たちと、まだ繋がることができています。しかし私と子供たちとの絆は、私が強く望まないと切れてしまいかねない状況にあります。それが何年後になるかはわかりませんが、子供たちが私との交流を主体的に求めてきたときに、その思いに応えられるように準備していきたいです。そして同じような境遇にいる方々と、支え合っていきたいと思います。


Coそだて株式会社

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